Loreo 3D Lens in a Capによるステレオマクロ撮影
香港のLoreo社が製作・販売している、3D Lens in a Cap(3D LIACと略すらしい)という一眼レフカメラ用ステレオレンズがあります。ミラーによるビームスプリッター方式ですが、ペンタックスのステレオアダプターとは異なり、これ自体でレンズを内蔵しています。

Loreo 3D Lens in a Cap

今月のはじめ(2006年10月)、ハンガリーのImre Zsolnai-Nagyさんという方からMacro 3Dのメーリング・リストに、このレンズを改造してマクロ撮影に使用しているという投稿がありました。

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Imre Zsolnai-Nagyさんのページ
(このレンズで撮影したマクロ画像が、多数あります。)

改造の手順は、およそ次の通りです。

1.前面のカバー、及びミラーユニットを外す。背面のネジを順番に外していけば、両方とも外すこことができます。元に戻す場合のことを考えて、パーツのはまり方など、デジカメで記録しておいた方が良いと思います。

2.これでステレオベース9mm程のステレオレンズになりますが、このまま撮影してもオーバーラップ部分が大きく、鮮明なステレオペアを得ることはできません。前面に黒いマスキング・カバーをつけ、20x27mm程度の窓を開けます。更にファインダー像を確認しながら開けた窓の幅を黒い紙などで狭めて行き、良好な像を得られる状態を探し、紙片を固定します。私はカバー、調整用の紙片とも、VHSビデオの黒いジャケットケースを使いました。

3.この状態ではフォーカスポイントが1.5mのところにきてしまい、ベース9mmでは立体感のあるステレオペアを得ることはできません。いろいろ試した結果、12mmの中間リング(接写用Extension Tube)をレンズとボディの間に装着すると具合が良いとのことでした。レンズ前面にクローズアップレンズをつけることで、拡大率を変えることができます。

写真左:無改造品とマクロ改造済みの3D LIAC。左下は、テスト撮影に使ったカップヌードルの蓋押さえフィギュア。
写真右:マスキング用カバー。

一度も使ったことのなかったニコン用の3D Lens in a Capをばらし、マウントアダプター、中間リングを介してキヤノンのEOS 5Dに装着し、試してみました。露出の癖がわからないため、今回はRAWで撮影しましたが、現像ソフトでかなりマイナス補正してあります。上段の画像はRAWからJPGに変換後、縦横のサイズを半分に縮小してあります。

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中間リングのみ、中間リング+クローズアップレンズの撮影結果。

IMG_5414e.jpg IMG_5415e.jpg IMG_5416e.jpg

トリミング、ステレオ・ウィンドウ調整後の画像。

結果はご覧の通りですが、ステレオベースが小さいため、画像が中央に寄りすぎてしまい、使えない部分がかなり大きいです。切手サイズくらいの被写体に限れば、結構使えるかなという感じでした。価格が安く(フルフレーム用48米ドル、APS-C用93米ドル)、de Wijsのステレオマクロレンズに較べればコンパクトなので、お手軽なステレオマクロ撮影機材として1つ用意しておいても良いと思います(2006.10.19)。